がんの漢方治療と補完・代替医療(未認可医薬品やサプリメント)を専門に、「科学的根拠」と「費用対効果」を重視した治療を行なっています。
漢方治療を中心にした、がん治療の考え方と方法とは?
今回取材でお話を伺ったのは、銀座東京クリニック院長 福田一典先生です。
基礎研究や臨床試験で有効性や安全性が確かめられている補完・代替医療の中から、経済的負担の軽いものを提供することを基本方針に、患者さんの状態に応じた、最も適した治療を提供されています。
お話の一部ですが、ここに紹介させていただきます。
坂井:今日はどうぞよろしくお願いします。早速ですが、がんの代替医療の問題点についてはじめにお聞かせいただけますでしょうか。
福田先生:大学を卒業してから30年になりますが、最初は外科からスタートし特にがんの治療に携わりました。その後、病理や生化学の教室でがんの基礎研究をしたり、漢方とがんの研究をするために漢方薬の会社に勤めてたり。その後は国立がんセンターのがん予防研究部で、食品とか生薬のがん予防効果を研究したり、岐阜大学の東洋医学講座の助教授として、がんの漢方治療を実践しました。
坂井:それでそういう研究をするようになって、現在、先生はがんの人達へどのように指導されておられるのでしょうか。
福田先生:がんの治療もいろいろ役割分担があるわけです。まず標準的治療というのは、抗がん剤とか手術とか放射線治療で、一般の病院で行われている治療ですね。あと、先端医療や実験的医療という、大学や研究所でやっているような、まだ効果は確かめられていない実験的に行っているような治療。そして、末期がんに対して緩和医療を専門に行うホスピスみたいな所もあるわけです。それともう1つ代替医療というものがあります。これは、標準的治療を受けてる人が体力や免疫力を高めたり副作用を緩和する方法はないかということで、漢方とかサプリメントを試してみたい。だけども、西洋医学・標準的治療をやってる所では、そういったことは、認めないとか、知らないということで、患者さんが自分で調べなければならない。そういった時に漢方とか代替療法を実践している医療機関のニーズがあるわけです。私が行っているのは、そういったがんの漢方治療や代替医療の領域です。
坂井:先生が漢方薬を使ってがんの治療をしていこうと思われたきっかけは何だったのでしょうか。
福田先生:別にきっかけとかはなくて、はじめは消化器の外科を専門にやっていたのですが、消化器外科っていうのは胃を切ったり腸を切ったりすると、手術後は食事が十分に入んないからというので、どんどん体力が落ちていくわけでね。また、再発も多く、なかなか治らないわけですね。抗がん剤も効きにくい。そういったことを経験して、体の治癒力や抵抗力を高める治療や、がんと共存する治療に興味が移っていったわけです。
いつかはがんの特効薬が見つかるに違いないということで研究に入っていったわけですが結局、見つからないわけ。30年間がんの研究をやってるけど、がんで何が変わったかっていうと、あまり変わってないわけ。
僕が30年前に外科医になった時には、21世紀になったら、外科医は仕事が無くなるからっていう話があった。がんなどは21世紀になったら、薬で治る時代が来ると。外科医はもういらないんだと。だけど、21世紀になっても殆ど変わっていないですね。
一見がんを治すのは増えてはいるんだけど、1つは、早期診断ができて早く見つかる。小さながんを片っ端から切れば当然治るのは増えてくるからですね。だけども、がんで死亡する人は、実際増えているんですね。高齢化にもよるんだけど。年齢調整死亡率でいっても少し減ってはいるけれど概ね横ばいなわけ。だから、これだけ医学が進んでも、そんな極端にがんで亡くなる人を救ってるわけではない。
そういったこともあってがん治療における限界みたいなのを考えながら、いろんな研究をしてて、その研究の中で身体の治癒力を高めるとか、がんと共存するアプローチも必要だということで、今こういうことをやっているわけです。
坂井:先生の所では、外科のこともわかるし、抗がん剤のこともわかるということで、予防なのか、治すのかという話を聞きながら漢方薬を処方するというような感じですか。
福田先生:そうですね。漢方の他に、サプリメントや未認可医薬品なども使います。未認可医薬品とは日本ではまだ認可されてないけれど、外国では使用されている薬で、認可されている外国から輸入して使用することができます。結構、劇的に効く薬が次から次に出てはいるんです。
坂井:例えば、気持ち的な部分で落ち込んでいる方に、先生はどういう感じでサポートされますか。
福田先生:何が心配かを聞いて、納得いくまで説明していくことが基本です。がんについて知らないから不安になっていることが多いからです。つまり、話を十分に聞いて、わかりやすく説明してやるだけで、不安はかなり軽減します。
坂井:ここの患者さんでなくても相談を受けてるんですか。
福田先生:もちろん。僕のHP見れば自由にメールで相談っていうのもあるわけ。それに対して僕はお金は取らない。でもあんまり忙しくなると、メールでのご相談は受け付けませんってことになるんだけど、今の所一応できる範囲ではあるから。
坂井:最後に、がんは治る病気なんでしょうか。
福田先生:絶対に治る病気かと聞かれたらちょっと軽々しくは言えないですね。だけども、早く見つかれば確かにかなり治せるわけです。でも進行してしまうとやっぱり治ることが難しくなってきます。
がんと一口に言っても、いろんなステージがあって、それを一緒くたにしてどんながんでも治るとは言えないですね。でも、標準的治療で半分以上は治っているのは確か。半分の人はがんと診断を受けて実際に治っている。だから、結局どっちとも言えないわけ。ちょうど今、半々です。
ただし、希望は捨てないでください。実際、非常に進行したがんの方でも、自然治癒というものがあっていつの間にか消えたとか。お腹開けたらもう手がつけられなくて閉じた人が80過ぎまで天寿を全うしたとか。進行してても、十分に身体の治癒力が高まれば、がんを縮小することも、無くすこともできるから。
がんであっても栄養状態さえよければ、数ヶ月の延命効果があるわけ。胃がんでどんどんどんどん飢餓状態になってしまうわけだけど、その間に栄養を良くしてやったり、体力を高めるだけで数ヶ月の延命効果があります。それと同じで気力をちゃんと持たせるだけでもそれなりによくなる。何もしないで完全に諦めてしまうと、医者から言われた通りの結果で終わってしまうんだけど、やることやってやれば、余命1ヶ月が3ヶ月や半年以上に生き延びることがある。その間に身体の中の治癒力が上手く高まって自然退縮することがある。だから、とにかく希望は捨てないで、やることやりましょうっていうこと。
プラシーボ効果というのがあって、偽薬でもかなり効くということで、これは心の持ち様が治癒力を活性化することを意味している。信じられるものや期待感の高いものほどプラシーボ効果が高いという研究がある。
漢方は数千年の歴史を持って、薬効も持ってるから、期待感も大きいわけ。そういった意味で漢方薬を上手く使いながらその時に成分による薬効だけじゃなくて、そういった期待感を持たせることでさらに上乗せが期待できるからそれによって非常に延命効果があるわけね。
僕が諦めると、患者さんがどうしようもないわけだから、絶対に諦めないっていうことで患者さんと接しています。
坂井:今日は長いお時間ありがとうございました。
お忙しいところ、取材にご協力いただき誠にありがとうございました。
聞き手:がん克服サポート研究会サポート 坂井正典
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