がんの克服に向けて私たちに今何ができるか?-NPO法人緑の風ヘルスサポートジャパン 野本代表

NPO法人緑の風ヘルスサポートジャパン 常任理事 野本 篤志さんに取材に行きました。今回は、野本さんの行っている活動の記事がありましたので紹介させていただきます。取材内容につきましてはでき次第、紹介させていただきます。なお、野本さんの了解にもとづき内容の一部を変更しております。

はじめに

 現代社会で私たちをもっとも苦しめ、悩ませている病気 は「がん」です。日本では毎年33万人の人ががんで命を落とし、その数は年々増加の一途を辿っています。私は大手製薬会社で22年間にわたり新薬の研究開発の仕事に携わってきましたが、現代人を悩ませ続けている慢性疾患に 対して、対処療法的な薬物療法では根本的な解決にならないと考えるようになり、1年半前に会社を辞めてNPO法人を立ち上げました。

  西洋医学の父と呼ばれているヒポクラテスは、はるか2500年前に「人間は自らの中に100人の名医を持っている」と言いました。100人の名医とは健康の源、すなわち私たちが生まれながらに持っている自然治癒力(自己治癒力)のことです。現代の乱れた生活習慣と生活環境がこの自己治癒力を低下させ、その結果がんをはじめとする多くの慢性疾患が増加していることは明らかです。

  これからのがん対策でもっとも大切なことは、「自分自身ががんを予防し、がんを治療する主人公である」という強い意志を持つことです。すなわち一人ひとりが自己治癒力を最大限発揮できる生活習慣を身につけてがんの発症を予防すること、また不幸にしてがんに罷った場合にも現行の3大療法(手術・放射線療法・抗がん剤)のみにこだわらず、もっと視野を広げて自己治癒力の向上に重点を置いた治療法を新たな選択肢として積極的に取り入れるとともに自分自身で取り組める健康法を見つけてそれを実践していくことだと考えます。

今日本で起きていること
 現在の日本は2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死ぬと言われています(下の表)。残念なことにがんの羅患率、死亡率ともに年々増加の一途を辿っており、7年後の2015年の推定では、なんと3人に2人ががんにかかり、2人に1人ががんで死ぬと予想されています。このまま手をこまねいていれば今の子どもたちが成人して働き盛りになる頃にはがんに罷らない人を探すのが困難になるでしょう。日本はそれほどの「がん大国」なのです。

                 2006年(2年前)  2015年(7年後)
今がんに罹っている         25人に1人     20人に1人
生蓋のうちがんに罹る割合        2人に1人     2人に2人
生涯のうちがんで死亡する割合      3人に1人     2人に1人

政府は一昨年「がん対策基本法」を制定しました。ただ、その内容は、①がん検診を普及させ、早期発見・早期治療(2次予防)に努めたり、②日本で未承認の抗がん剤を早期に承認し臨床で使えるようにすること(治療)に主眼がおかれています。すなわち、「なぜがんができるのか?」という根本的な課題の解決(発症の予防すなわち1次予防)には目を向けず、「できてしまったがんをどのようにたたくか?」という対処療法のみに意識がいっています。

  我々の意識も同じです。「健康な食生活」に注意を向けず、便利で手間や時間のかからない栄養価の乏しい食品に頼り、その結果としてがんに罹ってからあわてて病院に行きお医者さんになんとか「治してもらおう」とします。

例えて言えば、わが家が火事になってから慌てて消防車を呼んで消火してもらうようなものです。もし、町内の2軒に1軒が火事に遭うことが事前にわかっていたらどうでしょう?行政は消防車の増設や性能の向上ではなく火事にならないような街づくりを考え、個人ももっと耐火性の優れた家に造・改築することを考えるのではないでしょうか?

ヒントはアメリカにあった!
一般にはあまり知られていない話ですが、アメリカでは1990年を境にしてがんの発症率も死亡率も低下してきています。これは決して偶然ではなく、今から30年前にがん対策の方向性を大きく転換した結果なのです。

1971年、時のニクソン大統領(共和党)は「人間を月に送り込んだ科学技術を結集すればがんも征服できる」と考え、「がん関連法案」を制定してそれまで宇宙開発に向けていた国力をがん克服に集中しました。しかし、結果は失敗に終わりました。そこで次代フォード大統領(共和党)は、上院に栄養問題特別委員会を設け、ニクソンと大統領選を争ったマクガバン氏(民主党)を委員長にして、大々的な調査(2年の歳月、数千万ドルの予算、3,000人の医学・科学者の協力)を行い、5,000頁という膨大な報告書(マクガバンレポート)に纏め上げたのです。アメリカはこの報告書に基づき大きく舵を切りました。

主な調査結果は以下のとおりです
・我々の食事は不自然でまったくひどい。ガン、心臓病、
   脳卒中などの病気は、食原病であり、この間違った食
   生活を改めなければいくら病院が増えても問題を根本
   的に解決することはできない。
・現代の医学は薬に偏った、栄養軽視の医学である。
   病気を治す根本は薬ではなく、体の持っている本来の
   修復能力である。
・本来の修復能力を高めるのに最も大切なのは食べ
   物に含まれている栄養素であり、栄養の知識を持っ
   た医学に急いで変える必要がある。

マクガバンレポート(1977年) 栄養の目標
①炭水化物の摂取を現在のカロリーの46%から55%~60%に引き上げなさい。

②脂肪分は現在のカロリーの約40%から30%までに減らしなさい。
③動物性脂肪は10%、植物性脂肪は20%を現在のカロリーから減らしなさい。

④コレステロールを183のmgに減らしなさい。
⑤砂糖の消費は40%減らしなさい。
⑥塩は1日当たり3gにまで減らしなさい。
この結果に基づき、増やすべき栄養素と減らすべき栄養素を明示し、がん予防に有効な食材を明示する(デザイナーズフードという)とともに、NCI(国立ガン研究所)でがんと栄養に関する多くの研究を開始したり、NIH(厚生労働省にあたる部署)に「代替医療部」を設置して国の予算で代替医療(*)の研究と普及に取組み始めました。

  *代替医療とは、漢方などの伝統医療や民間医療のように自己治癒力の向上を目的とした通常療法(西洋医学)以外の医療の総称。

なぜがんになるのか?
そもそも私たちはなぜがんになるのでしょうか?私たち人間は受精卵(1個の細胞)が細胞分裂を繰り返してできた60兆の細胞の集まりです。正常な細胞は臓器・組織ごとにその形や働きが決まっており(分化細胞)、決まった数の分裂が終わると自殺(アポトーシス)して役割を終えることで全体の秩序を保っています。

  ところが、活性酸素で遺伝子が傷つけられると、自らの働きを忘れ(未分化細胞)、自殺することも忘れ無秩序かつ無限に増殖を繰り返す細胞(がんの芽)に変わってしまします。このようながんの芽は毎日数千個も生まれると言われます。そのまま放置しておくと、増殖を繰り返しやがてがんの塊に成長して私たちの生命を脅かす存在になるのですが、私たちの身体には自己治癒力があり、体内で作られる酵素で活性酸素を消去することができますし、免疫細胞が四六時中パトロールして、「がんの芽」を見つけてはすべて消してくれるのです。

  ところが、老化や栄養の偏り(食品漬加物・砂糖・塩・脂肪などの取りすぎ、ビタミン・ミネラル不足)、ストレスなどにより、活性酸素が大量に発生する反面、活性酸素を消してくれる酵素活性や「がんの芽」を取り除く免疫機能が低下してしまい、その結果がんが発症するのです。したがって、がんに罹る前に普段から、「がんを促進するもの」をできるだけ避けながら、「がんを抑制するもの」を積極的に取り入れて、私たちの身体に生まれながらに備わっている自己治癒力を最大限発揮できる状態を保つことが何よりも大切なのです。

日本の医学に足りないもの
 西洋医学の父であるヒポクラテスは医学の信条として「医療とはまず害を及ぼさないこと」「自然の治癒力を尊重すること」を掲げています。残念ながら3大療法(手術・抗がん剤・放射線療法)を中心とした日本の現行のがん治療には、どちらの視点もまったく欠如しています。これらの療法はその副作用により患者に多大な苦痛を与える一方がんと闘うために生来備わっている自己治癒力(免疫機能)を大きく低下させてしまいます。
また患者自身もすべてを医者任せにしているため、3大療法に欠点や限界があることに気づいていません。たとえば抗がん剤について「患者の知らない医者の常識」を列挙してみると

・抗がん剤が有効ながんの種類は少ない(推薦図書③を参照)

・多くの抗がん剤は発がん作用を有している(推薦図書①を参照)

・抗がん剤には初めはよく効きがんが退縮するが、やがて効かなくなり増悪・再発しまうことが多い(推薦図書①、③を参照)

・自分ががんになっても抗がん剤だけは使いたくないと考えている医師がたくさんいる(推薦図書①、②、⑤を参照)

新しい希望の道
・最新の3大療法
まだ適応されるがんの種類は限られていますが、がん細胞により選択的に作用する抗がん剤のミサイル療法(分子標的治療薬)、ピンポイントの放射線療法(サイバーナイフ、ガンマーナイフ、陽子線治療)、開腹しない手術(腹腔鏡術、内視鏡術)など従来の治療に比べて副作用や身体に対するダメージが少ない治療法が開発され、臨床で利用され始めています。

・統合医療
現行の通常療法(外からがんを直接たたく)と代替療法(内在する自己治癒力を高めて免疫力でがんをたたく)のよいところを組み合わせ患者さん一人ひとりにとって最適な治療を行うことを統合医療と言います。首都圏を中心として統合医療でがんを治療する医療機関が少しずつ増えてきています(巻末の統合医療施設リスト参照)。

ただし、健康保険対象外の自由診療ですので自己負担は割高になります。

・ゲルソン療法 
ドイツ人のマックスゲルソン医師が開発した厳格な食事療法で、①大量の野菜ジュースの摂取 ②無塩食③脂肪・動物性蛋白抜きの食事 ④アルコール、カフェイン、 食品添加物、加工食品や精製食品の禁止(野菜、果物、未精白穀物、豆類、芋類、ナッツ類、海草を中心とした食事が基本です。この療法で末期がんを含め国内外で数多くの患者さんががんを克服しています(詳しくは推薦図書①と②をご覧ください)。

・最新のサプリメント療法 
厚労省の調査によると、がん患者の40%以上が何らかのサプリメントを服用しているそうです。その中で現在、植物に含まれる次の3つの低分子成分が最も注目されており、 統合医療の医療機関でも臨床応用されています。

①、もずくに含まれる成分を低分子化したもの 
②、南米に生育する樹木
③、アガリスクに含まれる低分子成分

NPO法人緑の風ヘルスサポートジャパンで今行っていること
・普段の生活習慣を見直し「がんになりやすい体内環境」を「がんになりにくい体内環境」を変える努力をしましょう!⇒当NPOではつくば・土浦地区の公民館において定期的に「健康生活習慣セミナー」を開催し、皆さんに具体的な構報提供を行なっています。
・もし、がんに罹ってしまった場合は、けっして医者任せの他力本願にならず、「自分が自分自身の主治医になって病気を治すんだりという強い意志をもつことが治療に先立って何よりも大切なことです。

・推薦国書①②を読んでがんを克服した人が大勢いることに勇気と希望を持ちましょう!

・ゲルソン療法を実践している統合医療施設をご紹介いたします。

・医者から治療法(3大療法)が提示された場合、家族の協力を得て勉強し、その治療法があなたにとって本当に最適な治療法か?それ以外にもっと副作用が少なく、有効性が高い治療法がないか?を十分検討しましょう。  ⇒必要な方に対して当NPOで情報提供をいたします。

・同時に3大医療以外の治療についても検討しましょう。統合医療の医師(統合医療施設リスト参照)に検査結果や現在の治療方針を見せて意見を聞く(セカンドオピニオン)こともとても有効です。⇒当NPOで統合医療の医師を紹介しています。

・がんと闘って克服していく過程で、それまでの生き方やものの考え方を見直し、より豊かな人生を手に入れた人が大勢います。推薦図書⑥を読んで、是非一度「がんがあなたに伝えようとしているメッセージ」に耳を傾けてみてください。  ⇒当NPOで関連情報を提供いたします。

最後に
・「がんは死」であり、「私たちは決してがんに打ち勝つ
  ことなどできない」という呪縛から抜け出しましょう!
・「がんは私たちの生き方を見直すために遣わされたメ
ッセンジャー」であり、「私たちはがんを克服することで真
の健康と幸福を取り戻すことができる」のです!

<推薦図書>
  ①「自然・栄養療法でガンを治したガン勝利者25人の証言」
      (今村光一著、中央アート出版)
  ②「ガンと闘う医師のゲルソン療法
   自らのガンを克服した精神科医が選んだ究極の栄養療法
      (星野仁彦著、マキノ出版)
  ③「新・抗がん剤の副作用がわかる本」
      (近藤誠著、三省堂)
  ④知ってはいけない!?―消費者に隠された100の真実
      (船瀬俊介著、徳間書店)
  ⑤アメリカはなぜ「ガン」が減少したか
   「植物ミネラル栄養素療法」が奇跡を起こす(森本晃嗣著、現代書林)
  ⑥「がんのイメージコントロール」 (川畑伸子著、同文館出版)

<連絡先>
  NPO法人緑の風ヘルスサポートジャパン
  土浦事務所 http://npo-midorinokaze.com 
住所:茨城県土浦市中荒川沖町2-6ツインビル403号
  電話:050-1417-5964 FAX:029-843-3061

<プロフィール>
野本篤志(のもとあっし)
1958年茨城県水戸市生まれ。東京薬科大卒。筑波大学大学院修士課程医科学研究科を修了後、藤沢薬品工業(株)筑波探索研究所に勤務。動脈硬化の研究で薬学博士号を取得。アステラス製薬(株)開発本部次長(経口糖尿病薬の臨床開発プロジェクトリーダー)を経て、現在NPO法人緑の風ヘルスサポートジャパンの常務理事。薬学博士、薬剤師、日本メディカルハープ協会認定バーバルセラピスト、デトキシコロジー研究会会員、日本末病システム学会会員。現在心理カウンセラーとサイモントン療法カウンセラーを目指し、認定講座を受講中。