以前に、がんの標準治療以外の補完治療などの セカンドオピニオン のご相談も受けておられる、がん専門のサポートドクターのお話しを伺った時、病気から立ち直るため一番大切なことは、自分の考え方や感情の反応が、いかに病気の原因になっているかに気づき、健全なものに変えることだと言われていました。

全く同じ認識が、『がんのセルフコントロール』という本でも指摘されていました。そして、その次の段階は自分の感情反応を自分の受けている治療を応援してくれるように「コントロールする方法をみつけること」とあります。

そして、自分にがんから回復する力のあることを信じるようになるためのもっとも効果があるものが、リラクセーション法とイメージ法といわれています。

ここでひとつ大切なこととして 、 臨床的な意味での「リラクセーション」とは、 テレビを見て過ごすとか、お酒を少し飲むとか、友達と話をするとかいうことではないということです。 確かに楽しめることには違いありませんが、ある研究の結果によると、 そのような、「リラクセーション」もではストレスによる身体的影響適切に処理できない事がわかっているからです。 そこで、まず確かな成果が 多く実証されてきた英モンド・ジェイコブソン博士の考案したリラクセーション・テクニックを紹介したいと思います。

1)照明のあまり強くない静かな部屋に入りドアを閉め楽な椅子に座り足をぴったり床につけて目を閉じます。
2)自分の呼吸に注意をむけます
3)2,3回深呼吸をして下さい。そして息を吐きだす度に心の中で「リラックスしよう」といいます
4)自分の顔に注意を向けます。そして顔や目の周りの筋肉に緊張があればそれを意識します
 次にこの緊張をイメージに描きます。
 ロープの結び目や握りこぶしのイメージでもかまいません。次にこの緊張が解け弾力性のなくなった
 輪ゴムのように楽になることを頭に描くのです。
5)顔と目のあたりの筋肉がりラックスするのを意識します。
6)体のほかの部分も同じようにします。だんだん下のほうへ行き、あご、首、肩、背中、上腕、下腕、
 両手、胸、腹、両もも、ふくらはぎ、くるぶし、足、つま先、と体のあらゆる部分がリラックスするまで
 行います。体のそれぞれの部分が緊張している所をイメージに描いて、次にその緊張がとけるのを想像します
 その部分を緊張させ、それからリラックスさせます
7)体の各部分をリラックスさせたら、その気持ちのようい状態のまま、2分から5分くらいじっとしていましょう
8)それから、まぶたの筋肉を軽くして、目をあける準備をし、自分のいる部屋に意識をもどします
9)では、目を開けましょう。そしていつもの生活の戻ります。

この訓練を一日3回、10分から15分ずつ行うようにします。この方法を続けることで、自分の中に気持ちのよいエネルギーが満ちてくるのが感じられます。それはまるで自分のバッテリーを充電しなおす方法のようなものです。

繰り返しこのようなリラクゼーションのトレーニングを積むことは不安を少なくするうえでも役立ちます。

不安はその人を圧倒してしまうことがあります。
癌の患者さんは医療費の家族への負担や、自分の不在が子供に与える心理的悪影響などを心配し、長い闘病生活を恐れるということが少なくありません。
このような恐怖心のために、未来に対して 積極的な期待がほとんどできなくなってしまうのです。
ですが、上記のような身体をリラックスさせる練習を積むことにによって緊張と恐怖心の悪循環を断ち切ることができるようになります。少なくとも自分の体をリラックスさせている間の数分間は癌の破壊的な働きは和らぐと考えられます。

このように、 リラクセーションテクニックにより心や身体のの緊張をコントロールできるようになると、それまでより、積極的な未来への期待の心を簡単にもてるようになり、その結果不安や恐怖心がさらに弱まるという良循環が生まれるのです。

次回は、イメージ療法についてご紹介したいと思います。この二つのエクササイズを実践することで、 より自分の身体と心をコントロールできるようになり 健康を取り戻す方向へ前進できます。

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