薬方堂の佐藤 成志先生への取材
佐藤: 癌をはじめたくさんの病気がどんどん増えていますね。
本当に医学が進んでいるとか科学が進んでいるならもっと減らなくちゃいけないと私は思うんですよ。
ところが現在の病気の多くは生活習慣病といわれている通り、日常の生活習慣に原因があって起こったわけです。その生活習慣、とくに食習慣を正さない限り決して根本解決にはならないと私は思っているんです。その理由は、食べ物が生命をつくり、生命を育てているからです。
生命を合成するとか、遺伝子を組み換えるとか、僕からすれば何の役にもたたない。人間が勝手にやることは自然界には存在しないものが多いんです。その代表的なものが農薬や合成化学薬品や一代で終わる遺伝子組み換え作物などです。だから、私は薬が専門なんですが合成化学薬品を使うのは40年前から止めたわけです。
坂井: 40年前からですか。それは一切使用しないということですか?
佐藤: 普通の化学薬品はね。例えば、痛みがかなりひどいとかいう場合には使わざるを得ない。けれど、治すものではないと私は思っているんです。だから薬が駄目だというんじゃなく、使わなくちゃいけないこともあるけど根本治療にはならないですよと。あくまでも対処療法だね。
オシッコが出ない時には利尿剤が必要なこともあるし、熱が上がったら下げなきゃならない。
だから根本治療を目指して40年やってきたわけです。間違っていなかったと思いますよ。治るからです。治れば本当でしょう。
だから、私には難しい理論や学説も必要ないんです。治れば本当。治らなければいかに立派な学説だろうがたいしたことないと思っている。したがって私には実践しかない。実績があれば否定できませんからね。それでいいんじゃないでしょうか。 生活習慣病という言葉もありますが、その中でも食習慣が基本だと思いますよ。そこにスポットが当たらなければ駄目だし、あとは、ストレス・過労・大気汚染の問題もあるね。
坂井: 癌の人達に対して、一番伝えたいことってどういうことでしょう。
佐藤: 癌と宣告受けたら、どん底につき落とされた気持ちになると思いますよ。しかし、命がある限りは自分で治せる可能性はあると申し上げる。もちろん絶対っていう保証はできないけどね。しかし、絶対に駄目だといわれて助かっている人がいっぱいいるわけです。
人間の命は神様にしかわからないんだから、とにかくベストを尽くす。
何をするかが問題で、私は3本の柱でやっている。
1番目は正しい食事と水が基本。身体をつくる基になるからです。悪い物は摂らない。とくに肉・卵・牛乳・刺身・甘い物。油脂のとりすぎも禁物です。そして、主食はなるべく未精白の穀類にして、よく噛むことです。
副食は、野菜、海藻、豆腐、納豆、小魚、貝、つけ物、梅干等にします。
2番目の柱は、葉緑素、胚芽、酵素の補充が有効です。
3番目の柱は、必要に応じて漢方薬の力を借りることです。
坂井: 先ほどモツは駄目だって聞いたんですが駄目なんですか。
佐藤: そうですね。モツは内臓でしょう。鳥でも豚でも内臓は一番危険ですから。
ほとんどが人工飼料や濃厚飼料で育っていて野生で育てられたものはなかなかいない。
例えば鶏だったら孵化して、ブロイラーで早く育てるために人工飼料に成長ホルモン等を入れるわけです。
ほかにも肉を柔らかくする為のホルモン剤や、抗生物質だとかを入れて育てる。そういった毒素が肝臓や内臓にたまる。だからモツは危険なんです。
薬方堂では、食べ物だけではなく、農薬や食品添加物の問題、大気汚染や環境問題、ストレスや過労などあらゆる面から取り組んでいるわけです。
坂井: 癌の方に水や食事の話をされますが、心の持ち方に関してはどうですか。
佐藤: 私は欠陥だらけの人間ですから、心について話す資格はありませんが、治られた方や、余命何ヶ月といった宣告を受けても治るよう希望をもって頑張っている方々など、店に来られる多くの方々から学ばさせてもらってます。
例えばね、同じ胃ガンで4期の人が二人、まったく同じ状態でここに来て、私が言った3つの柱をしっかりやってもらう。しかし、非常に早く治る人となかなか治りの遅い人の差が出るとする。
この差は何かと考えると心の問題だなっていうところにたどりつくんです。
要するに、ストレスの発散がうまくできる人と出来ない人との差です。
治りの早い人は物事をなんでも前向きに考えることができるんですよ。
ご婦人の方で、手術も嫌だ、抗癌剤も嫌だって、じゃあ何もできないだろうって病院から家に帰されたんですけど、余命3ヶ月って言われてその方は「やったあ、3ヶ月あるじゃない。3ヶ月あれば何とかなる。」と思ったそうですよ。普通はもう駄目だと思うでしょう。3ヶ月あるって思えるとは凄いと思いましたね。
それで、3本の柱をしっかりやったんですよ。今、この人は元気で仕事をやってますよ。本当に。そのような考え方は非常に大事ですね。
だから私はいつも言うんですけど、「青空みえるでしょう」「雲がみえるでしょう」「木も緑にみえるでしょう」って。目の見えない人はいっぱいいるよ。いろんな物が見えるっていかに幸せなことか。
話をしていても「会話がお互い通じるでしょう、嬉しいことだね」全く聴こえない人もいっぱいいるよ。
喋れない人だっていっぱいるよって。
あなた幸せなんですよって。生きていることへの感謝の心が大切ですね。
今回お話をお伺いした、佐藤薬局の佐藤 成志先生の
ご子息の佐藤秀彦先生との対談です。
坂井: どのような方法で癌の方をサポートしているのでしょうか?
佐藤秀彦先生: ガンを克服する為には3本の柱が必要と考え、その内の1本に正しい食生活、これに重きをおいています。
うちは漢方専門の薬局ですが、漢方とは根本療法を目指すわけです。従って、やがて病気を治すための薬が必要なくなる、すなわち治るという考え方です。
一生飲み続ける薬というのは、はたして薬なのかということです。
本当は、食生活だけで充分健康維持していけるというのがうちの信念なんです。食事をしない人はいないですから食べるものを厳選して身体にいい食生活を勧めているんですよ。
それでもどうしても状態が緩和できない場合、例えば、痛みが酷いとか、尿の出が悪いなど、急を有する時には漢方薬の力が必要です。
あと、補強食品といいますか、うちのオリジナルでいくつかあるんですが、「葉緑素」や「胚芽」、「酵素」など食事を補うようなものですね。
そして最終的に3番目に必要とあれば漢方薬なんですよ。
坂井: 位置的に漢方は3番目で、きちんとした食生活で治るし、足りない場合は補助食品というというお考えなんですか。
佐藤秀彦先生: 実際に漢方を使わなくても良くなられてる方が大勢いらっしゃるのでね。
坂井: 食生活の指導とは、どこまでされるのでしょうか。
佐藤秀彦先生: ご本人が納得されるまでです。
まずどういうものを食べていたかと、「これは好きですか」など、うちの相談カードに記入してもらいます。すごく基本的なことですが、引っかかるものばかりですよ。
全部好きになると大問題になるんですよ。
これは。キーワードが幾つか入っていて、その中で絶対に食べない方がいいよというものと、どんどん食べてくださいというものを分けているんです。
玄米菜食の流れってたくさんありますけど、基本的には共通点は多いですね。穀物・野菜・海藻をたべましょう、醗酵食品や小魚、貝類、漬物、梅干も食べましょうということなんです。
うちの食事療法は、みなさん力が出て元気になると言ってくださいます。
坂井: 豚肉は実際どうなんですか?
佐藤秀彦先生: そうですね。現在の栄養学的では良いとなっていますが、うちでは悪い方に入れています。
肉類全部です。魚になると話は別になるんですが、小さい魚はいいけれど大きい魚はだめです。
坂井: 大きい、小さいはどこから分かれるのですか。
佐藤秀彦先生: 身だけを食べるのか、頭から尻尾まで全部を食べるのかということですね。例えばメザシやシラスだとかは丸ごと食べるじゃないですか。大きい魚はさしみで身だけ食べますよね。さんまやいわしなどは頭からしっぽまで食べる人もいますが、大きい魚は丸ごと食べない人の方が多いですよね。小さい魚は内臓や皮なんかも食べられるからいいんですよ。
肉よりは魚の方が圧倒的にいいんですけれど、一般的に切り身を少し食べる程度でしょう。それくらいは問題ないですよ。
そういうふうに食事を分けて、悪いものをカットしながらこういう物をたべましょうねとやっていくと明らかに体調が変わってきます。それだけで元気になって、ありがとうございましたと言われる方がたくさんいらっしゃいます。
ところが、ガン、肝臓病、重度のアレルギー、再生不良性貧血などの重度の貧血というのは難病指定になっているほどですから、そういった場合は食事療法だけでは追いつかないので補強食品を勧めて、状況によっては漢方薬になりますね。
もちろん、健康な人でも病気予防のために補助食品や薬草をお使いになられている方もたくさんいらっしゃいますよ。
坂井: 補助食品に関しては食事指導と一緒に教えるのでしょうか。
佐藤秀彦先生: 一緒です。うちでは相談時間が長いんです。お一人1時間〜2時間くらいがっちり相談して、そして納得していただいてがんばってもらう。キーポイントは食生活なんです。
そこはご本人の自主的な問題ですから、こちらから見ながらそれは駄目というわけにはいきませんので、しっかりとやってもらう。
買い物も料理もご自分でされるんですから、その点を一番に納得してもらいます。
坂井: 漢方は何種類くらいですか。
佐藤秀彦先生: 数百種類。組み合わせでいろいろな処方をつくります。処方の中身は複雑な学問で効率よく働く処方を選びます。
坂井: 健康食品や補助食品で根拠がないと言われる方、多いですよね。漢方は経験だと言われませんか。根拠について聞かれませんか。
佐藤秀彦先生: 中にはいらっしゃいます。ただ、うちに来られる方はほとんどがクチコミで実際に治った方を見ておられるので、安心してこられます。
勉強会や相談会にどんなものかのぞきに来られた方なんかは、根拠や科学的な証明なことを言われることはあります。
漢方薬というのは、組み合わせによって違う力を発揮するし、自然界のものですから、一つの成分ではないんです。あとは体内でどんな働きをするか、現在の栄養学や西洋医学的考えにあてはめられると科学的根拠は薄いということもありますが、生命は科学だけでは分かりません。
ただ、最終的には病院の薬や漢方薬、いろいろな治療法や手術、なんでもいいんです。治るか治らないかなんです。患者さんはそこにすがっているんです。
実際に良くならなければ、どんな学説だろうが、理論だろうが意味はないと思います。治るにしても健康的に治っていく。一生薬を手放せないというのではなく。そういう意味でうちは自信を持ってやっています。 |